日本人なら誰でも耳にしたこことがある有名なことわざ「国破れて山河あり」。
中学生時代の私は漢文に全く興味がなく、なんで勉強せんといかんのか疑問を持っていましたが、今こうして中国の詩に触れるとは不思議なものです。
漢文なんて忘れてしまいましたが10年経っても「国破れて山河あり」のこの1文だけはしっかりと頭の中に刻み込まれていました。
中国人と交流をしていく中で必ずみんな口にする詩人が杜甫と李白です。
彼ら2人は中国人からすれば詩人界のスーパースターです。2人は盛唐時代を生き実際に交流があります。
李白が「詩仙」と呼ばれるのに対して、杜甫は「詩聖」と呼ばれています。
中国人は会話の中で時々2人の詩人の言葉を引用して話してきます。
中国人の友達に紹介してもらった李白の詩の中でおもいしろいなと思ったのが、
天若不愛酒
酒星不在天
地若不愛酒
地應無酒泉
天がもし酒好きで無いなら、
酒星という星が天にあるはずがない。
地がもし酒好きで無いなら、
地上に酒泉という場所があるはずがない。
実際に酒泉という都市が中国の西部のほうにあります。お酒が有名な都市です。
そこの都市に住んでいる中国人の友達が紹介してくれた李白の詩です。
李白の話はここまでで
今回紹介する「国破れて山河あり」が書かれている詩が”春望”です。
有名な1文「国破れて山河あり」は春望の最初の1文です。
春望を書いたのは杜甫の方です。
春望を中国語で朗読(ピンイン付き)
国破山河在
guó pò shān hé zài
城春草木深
chéng chūn cǎo mù shēn
感時花濺涙
gǎn shí huā jiàn lèi
恨別鳥驚心
hèn bié niǎo jīng xīn
烽火連三月
fēng huŏ lián sān yuè
家書抵万金
jiā shū dǐ wàn jīn
白頭掻更短
bái tóu sāo gèng duǎn
渾欲不勝簪
hún yù bú shèng zān
実際に中国人の友達に朗読してもらいました。
彼女は中国の南の方の出身なので比較的聞き取りやすいと思います。
無理を言って即興で音読してもらいました。
ちなみにですけど中国の友達数人にwechatで「国破山河在」を知ってる?とメッセージを送ってみたらみんな知ってました。
有名なんですね。
春望の訳文
国破山河在
国は破れてしまったが山や河は存在している
城春草木深
長安では草木が青く生い茂っている
感時花濺涙
時世の悲しみを感じては花を見ても涙がこぼれおち
恨別鳥驚心
家族との別れを恨んで鳥の鳴き声にすら心を痛ませる。
烽火連三月
3ヶ月経っても戦いは終わらず
家書抵万金
家族からの手紙は万金にも値する貴重なもの
白頭掻更短
白い頭を掻けば掻くほど抜け落ち
渾欲不勝簪
まったくかんざしをさすのもたえかねそうだ。